『無印』が放送されていた2002年当時の私は小学生でそんなにアニメを見ていた訳ではありませんでしたし、家に家族共用のパソコンはあったもののインターネットはYahoo!きっずで触れる部分以外ほとんど触っていませんでした。今思うと我が家のパソコン周りを見てた父親のITリテラシーが高かった。
なので当時のバーチャルアイドルについてはWikipediaで調べて分かる程度のことしか知らないし、ここで専門的に論じる気もありません。
それでも「バーチャルアイドル」というか、「実在しないアイドル」的な概念がオタクの界隈の中でも比較的広い方へ広まっていったのは2006〜2009年頃だろうというのは肌感覚としてあります。
この時期ってアイドルゲームの『アイドルマスター』とボーカロイド『初音ミク』が動画サイトでほぼ同時期に盛り上がってたんですよ。
3DCG・絵の架空のキャラクターをアイドルとして見ることに皆があまり違和感を持たなくなり始めた時期というか。
勿論それ以前にも『マクロス』シリーズのヒットなんかはありましたけどね。
とは言え私が初めてリアルタイムで見たマクロスは2008年の『マクロスF』なので、90年代以前の作品が世間にどう受容されていたかは詳しくないです。
でも『F』も凄い人気でしたからね、私もランカちゃんのCD持ってました。
ゲームやアニメのキャラクター、いわゆる二次元アイドルをアイドルとして扱うだけではありません。
今やVtuberと呼ばれる人達がアーティスト・アイドル活動をしている事は珍しくないですし、星街すいせいさんのようにワンマンライブで武道館を埋める人もいます。
私も好きな二次元アイドルやVtuberがいて、ライブに足を運んでは本気でペンライトを振って応援したりしていますが、初めてそういったライブを現場で見た時ちょっとだけ不思議な気分になりました。
これって小学生の頃に「未来ならこんなこともあるのかもなあ」と思って見ていたAKIちゃんと同じじゃないか? と。
2002年にAKIちゃんがアニメオリジナルキャラクターとして登場した頃、少なくともメイン視聴者層の小学生にはバーチャルアイドルと言う存在は馴染みが薄かったのではないかと推察します。
少なくともアニメ版放送当時小学生だった私はそうでした。(私自身は『無印』はリアルタイム視聴していないのですが)
しかしバーチャルアイドルに馴染みがあろうとなかろうと、『エグゼ』の近未来SFとしての舞台設定が「この近未来世界ならバーチャルアイドルというものもある」でごり押してくれる。
そして視聴者の子供たちはこの話数まで来ると不信の停止が済んでいる状態なので「そういうものもあるかあ」と一旦受け入れる。
こうして『エグゼ』で描かれる近未来像の一角に「バーチャルアイドル」が加えられ、2026年現在で当たり前にバーチャルアイドルを応援しているあの頃の小学生は、「未来、来てるのかもな……」と推し活しながらふと気が付くのでした。
せっかく最初の方でアイマスと初音ミクの話を出したので、今のアイマスと初音ミクのライブ動画を貼ってみます。星井美希ちゃんはアケマスにはいないキャラなんですけどまあそこは目を瞑っていただき(オタク特有早口)
先も言ったようにこういった3DCGのキャラクターが歌って踊るライブだったりVtuberのライブだったりには私も現場まで行ったり配信を見たりしたことがあって、当時の『エグゼ』視聴者の方にもそういったライブに行ったことのある人は多いと思うんですが、今って本当にこうなんですよね。
『無印』時点だとこういった3Dキャラクターをステージ上の薄く幅の広いスクリーンに映してそこにいるように見せるほどの技術は存在せず(少なくとも普及はしておらず)、人々はAKIちゃんを普通にテレビや街頭のモニターを通して見ています。
けれど、ステージの見せ方こそ違いますが、モニター前に集まってAKIちゃんのライブを見ていた27話の人達と、2026年にライブ会場で星井美希や初音ミクにペンライトを振る人達で何が違うのかと問われると、本質的には同じな気がします。
そして映像表現に特化したオンラインライブとなると、自宅のモニターやスマホの画面を通してアイドルを見ることになるので、いよいよAKIちゃんと何も違いません。
こちらはNetflixで大ヒットした超面白映画『超かぐや姫!』のかぐやのVRChat上ライブの映像です。
なんかいい感じのオンラインライブ映像無いかなと思って探したら本当にちょうどいいこちらの動画を見付けました。
私がここで挙げたアニメやゲームキャラクターのライブって基本的にはアイドルであるキャラクターの台詞や歌唱・ダンスは事前収録なので、AKIちゃんのような人工知能を持ったリアルタイム性の高いバーチャルアイドルとは少し話が違ったりします。
一方でVtuberのライブとなると、いわゆる「中の人」がステージ裏に用意された専用の設備でリアルタイムで歌って踊り、その動きがスクリーンに投影されたキャラクターのモデルに反映されます。
歌とダンスで中の人が違う説とかあるところはあるらしいですけれども(それはそれでVtuberのバーチャルアイドルとしての強みだと思います)、ここは歌もダンスもトークも本人がやってる子のライブ動画を貼ります。人選は普通に私の推しの灯里愛夏ちゃんです。
とは言えこのキャラクターライブとVTuberのライブの垣根も低くなってきていて、配信番組やライブで二次元アイドルのキャラクターとVTuberが共演する例も珍しくなくなってきています。
こちらは「にじさんじ」所属のVTuberグループ・VALZと二次元アイドルコンテンツ「アイドルマスターSideM」(偶然にもこの記事投稿日で12周年)のDRAMATIC STARSが共演したARライブの冒頭料配信の動画。
他にもキャラクターとVTuberを「バーチャルアイドル」で括ってオンラインライブを定期的に主催している「えるすりー」なんかもあります。大きいところがリアルでバーチャルアイドルの夏フェスをやろうとしてたこともあるんですけどなんか延期と言いつつ実質中止になって
キャラクターを演じている声優さん本人がほぼアドリブでVTuberのように生配信番組をやる例なんかもあります。
「バーチャルアイドル」の「バーチャル」の部分って、実はめちゃめちゃ混沌としてる括りなんだと思います。
閑話休題。
話の流れを元に戻すと、私は先ほど紹介した推しの愛夏ちゃんと1 on 1(Web会議を使って一対一で会話できるイベント)で会話した時に物凄く「AKIちゃんのいる『エグゼ』の未来」を感じました。
私は自宅で自分のパソコンから繋いで画面の中で愛夏ちゃんと会話をするのですが、生身の肉体を持っている私と、Web会議の画面の向こうにいるバーチャル(Live2D)の肉体の愛夏ちゃんがリアルタイムで会話しているわけです。
私が手作りのグッズをカメラの前に向かって出すと愛夏ちゃんが「もっとよく見たい!」と反応をくれて、リアルとバーチャルの境目が曖昧になる感覚がありました。
これを穿った目で見ると、現実世界には彼女のいわゆる「中の人」がカメラの前にいて私とごく普通に会話していて、その「中の人」の表情や体の動きをトラッキング機能でLive2Dのイラストを被せて動かすことで「灯里愛夏」が完成するわけです。
普段の配信でもライブでも「中の人」がリアルタイムで動くからこそ、バーチャルの存在である「灯里愛夏」が明確に実在性を帯びます。
詰まるところ、Vtuberはバーチャルの肉体を動かすために現実世界で肉体を動かす存在が必要になります。
一方でAKIちゃんは電脳世界の中だけで完結している存在です。
行動する主体のリアルタイム性という点でAKIちゃんはVtuberと似ていますが、その主体の肉体が現実とバーチャルのどちらの世界に存在するかという点で考えれば異なる存在です。
このままAI技術が進歩すれば、AKIちゃんのように中身も完全にAIのバーチャルアイドルが人気を博す日も来るのかもしれませんね。
私が知らないだけでもういるのかもしれません。
「バーチャルアイドル」という分野において『エグゼ』の世界はもう来ているのかもしれないし、まだ来ていないとも言える、という話でした。




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