『無印』第1話「プラグイン! ロックマン!」

放送日:2002年03月04日
 脚本:荒木憲一
 絵コンテ:加戸誉夫
 演出:阿部雅司
 作画監督:坂崎忠

 さて、記念すべき第1話です。
 たいていのテレビアニメがそうであるように、第1話の脚本はシリーズ構成の荒木さん、絵コンテは加戸監督が担当しています。

 まずこのOPの始まり方が本当に良い。

 充電ポートに刺さったPETが真っ暗な画面から起動してロゴが浮かび上がり、システムソフトが走ってパスワードの入力画面になり、入力されたパスワードが受理され「OK」が表示されてからホワイトアウト、そして「ロックマンエグゼ」のタイトルロゴドーン。

 PETの画面がフルCGなのはもう見れば分かるのですが、PET本体も3DCGで作成してトゥーンレンダリング処理が施されています。更に電脳空間の表現としての3DCG空間と、その中を動き回る2D(一部3D)のロックマン。これを映像として描ける体制を作った上でアニメ化出来てるって言うのがもう最高ですよアニメ版は……。
 もっとも『無印』時点ではアニメ本編だと電脳空間であっても背景は2Dで描かれていることが大半だったりします。

 本編は汎用ナビをオペレートする熱斗とガッツマンをオペレートするデカオのネットバトルから始まります。
 以降のシリーズでも連綿と続くネットナビのデータ欠損(1話では汎用ナビの右腕)やログアウト・デリート時のCG処理表現が既にこの時点で確立されていることが分かります。
「攻撃用バトルチップ○○、スロットイン!」とバトルチップの「攻撃用」「防御用」をいちいち言っているのが、以降のシリーズを見た上で改めて『無印』を見るとなかなか新鮮です。

 AパートではネットナビとPETを巡る世界観を、熱斗の日常を通して紹介していきます。
 更に「連続発火事件」という、原作ゲームをやっている人ならピンとくるワードも出てきます。はい、原作ゲームにおける最初のボス戦であり、最初にしてはちょっと凶悪すぎるあの事件ですね。
 夕飯時の熱斗と母・はる香さんの会話が説明的ではありつつも熱斗役・比嘉久美子さんの子供らしい演技とそれを表現する演出が上手すぎて自然な親子の会話に見えるのが好きです。

 Aパート終盤で熱斗は、父・祐一朗から贈られてきたROMディスクをPETにインストールします。しかしオリジナルネットナビのデータと思ったらそうではなく、がっかりした熱斗は不貞寝。
 ところが熱斗が寝ている間にPETは何かしらの実行用プログラムを受信、「ROMディスク内のカスタマイズプログラムを実行」します。

 この時のPETの画面をよく見ると「.bat」拡張子のファイル、つまりバッチファイルを受信・実行していることが分かります。

 バッチファイルとは、実行したいコマンド処理を書いたファイルのことです。

 バッチファイルを実行すれば、例えば「ファイルを複製する」「このプログラムのここの処理を書き換える」などの処理を一気にまとめて実行できるため、ここで汎用ナビのデータをロックマンに書き換えるためにバッチファイルを実行したのだと分かります。(ちなみに「.bat」拡張子のバッチファイルは基本的にWindowsで使われます)(PETってWindows系OSで動いてるんだ)
 
 そうして熱斗とロックマンの初対面を経て、突然発火した光家のオーブンを何とかするために熱斗はロックマンをオーブンにプラグインするわけですが、消火剤ぶっ掛けたとは言えまだちょっと火噴いてるオーブンへの有線プラグイン、今見ると危なすぎる。『AXESS』以降の無線プラグインでもこの状況ならまあまあ危険ですが。

 最初はロックマンを見て「もっと強そうなナビが良かった」と不満げだった熱斗ですが、ロックマンのウイルスバスティング能力を見てすっかり考えを改めます。
 更に連続発火事件の魔の手はお隣のメイルの家にまで及びますが、熱斗とロックマンは力を合わせて無事今話のボスキャラであるファイヤマンを退けるのでした。

 『エグゼ』世界の治安の悪さのイメージって各媒体での最初の事件が基本的に連続発火事件だからと言うのも多分にあると思うのですが、少なくともアニメ版は、この事件の犯人のヒノケンやWWW(ワールドスリー)が特別凶悪と言うよりは「ネット犯罪や事故・事件を起こせるだけの力を一般人も手にしているため事件は起きやすいし、それに加えて野生の犯罪者や野生の悪の組織も全然いる」が実際のところだったりします。治安が悪すぎる

 ED映像はトゥーンレンダリング処理された3Dモデルのバトルチップがゆっくり回転する映像と置かれたPET、そして最後にPETの画面に表れて視聴者に向けて手を振るロックマン。
 こうしたところにも制作会社であるXEBECとSMDEの得意分野が生かされていますね。
 
 この1話は「世界観説明」「熱斗の日常」「ネットバトルにおけるロックマンの強さ」「熱斗とロックマンのコンビ結成」をテンポ良くしっかり1話のうちに収めた、アニメの1話目としてとても理想的な第1話です。1話作画監督の坂崎さんは『ゾイド』シリーズでキャラクターデザインをされている方ですし、非常に気合の入った1話であることが窺えます。
 光家・桜井家の間取りや町の景色が原作ゲームに忠実なのも細かい見どころ。
 
 1話については触れるべきことが多いためこの長さになりましたが、2話以降は持続性のためにもう少し力を抜いて文量抑えめにしていくつもりです。

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